11/23~12/21に生まれた人の誕生星座、いて座。そもそも“いて”とはなんなのか知らない方もいるのではないでしょうか?
“いて”とは、射手のことで、矢を射る人のことです。いて座は矢を持った姿をしている星座です。
このページではそんないて座について詳しく紹介します!
いて座の見つけ方
いて座には目立って明るい一等星がありません。そのため、明るい星を目印に見つけることができません。そこで、右隣にあるさそり座を先に見つけると良いでしょう。
さそり座の1等星”アンタレス”はかなり見つけやすいです。さそり座の探し方はこちら。
さそり座を見つけたら、その左側にある6つの星をつないでできる柄杓(ひしゃく)のような形を探してみましょう!
北斗七星は聞いたことがある方がいるかもしれません。北にある7つの星をつないでできる柄杓のような星並びです。
この星並びは、南にあって、6つの星をつないでできるので、 南斗六星(なんとろくせい)と呼ばれています。
南斗六星はいて座の持つ弓の部分の星並びです。
もっと詳しく夏の星座の探し方を知りたい方は以下のページをご覧ください。
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自ら死を望んだ不死身の賢者【神話】
いて座は、乱暴そうな見た目とは裏腹に、とても賢くみんなから慕われていた人物でした。
不死身の体を持っていた人物でしたが、ある出来事がきっかけで、自ら死を望むことになってしまいます。
下半身が馬、上半身が人間のケンタウルス族は、野蛮で酒と女を好む種族として知られていた。
その中で唯一、”ケイロン”は優しい心を持った文武両道の賢人だった。また優れた指導者でもあり、アキレウス、アスクレピオスを始め多くの英雄が彼を師として慕っていた。
ある時、彼の弟子のひとりである”ヘルクレス”は、旅の途中にケンタウルス族の暮らすポロエーの村に立ち寄っていた。友人のポロスに食事に招待され、ヘルクレスは焼き肉を、ポロスは生肉を楽しんでいた。
食事の途中酒が飲みたくなったヘルクレスは、ポロスにうまい酒はないかと尋ねます。
勇者ヘルクレスに見合う酒は何かと考え、ポロスは一族に伝わる銘酒を振舞うことにしました。
酒瓶を開けた途端、その芳醇な香りがあたり一面に漂い、他のケンタウルスたちのもとへも香りを運んでいきました。
ポロスは他のケンタウルスたちに、酒を開けることの了解を取っていなかったから大変です。勝手に一族共有の銘酒を開けられたことに、激怒したケンタウルスたちが、ポロスの家へと詰めかけます。
そして、武装したケンタウロスたちは、ポロスもろともヘルクレスへも襲い掛かりました。
驚いたヘルクレスは、とっさに燃えていた薪を手に取り応戦します。結果はすぐに訪れました。
勇者ヘルクレスには、腕に覚えのあるケンタウルスたちも全く歯が立ちません。
追い返されたケンタウルスたちは、長老であるケイロンの住む洞窟へと逃げ込みました。
突然の襲撃に怒り心頭のヘルクレスは、弓を手に取りケンタウルスたちを追いかけます。すぐに追いつくと、ケイロンの周りに集まっていたケンタウルスたちに向けて次々と矢を放ちます。
そのうちの1つが、1人のケンタウルスの腕を射抜き、そのままケイロンの膝に刺さってしまいました。
「師匠!」
尊敬する師に矢を刺してしまったことに気づいたヘルクレスが駆け寄ります。
すぐに矢を抜くと、かつてケイロンからもらった薬を塗りこみます。
ヘルクレスの矢にはヒュドラの猛毒が塗られていて、その毒が体内に入ると決して助かりません。
いくら薬を塗っても無駄でした。
ケイロンは不死身の体をもっていたので死ぬことはありませんが、毒が体内に回り、全身を激痛が襲います。
そしてとうとう、苦しみから逃れるために不死の力を放棄することを決意します。
ケイロンは主神ゼウスに頼み、プロメテウスに不死の力を譲り、死を選択しました。
ケイロンの願いを聞き入れ、安らかな死を与えたゼウスでしたが、その死を惜しみ天国に昇ったケイロンを星座にしました。
いて座にある宇宙
天の川銀河の中心方向に位置するいて座
宇宙に星々はバラバラにあるわけではありません。数千億個という星々が集団を作りその一つ一つを”銀河”と呼びます。 私たちの太陽は、”天の川銀河”と呼ばれる星集団の中にある1つの星なんです。
天の川銀河は、薄いどら焼きのような形をしていて、その中心方向にいて座が存在します。
ということは、私たちはいて座の方向を見ると、天の川銀河の一番濃い部分を見ることができるんです。
天の川銀河の写真を撮ってみたいと思っている方は、いて座を写真に撮ると綺麗な天の川を写すことができますよ!
いて座の豆知識
北向きに寝てはいけないのは、南斗六星に関係する?
北の空にある北斗七星といて座にある南斗六星は、形と名前が似ていることからわかるように、対になって考えられていました。
古代の中国では北斗七星が死を司る仙人で、南斗六星は生を司る仙人だと考えられていました。
人々の寿命はこの二人の仙人が相談して決めるとされていました。
ある村に住む子どもは、占い師から20まで生きられないと宣告されてしまいます。
驚いた子どもの父親は、寿命を延ばす方法がないか尋ねます。
寿命は人間の力で変えることはできないと断っていた占い師でしたが、働き者な子どもの姿に心を打たれ、寿命を司る仙人のことを教えてしまいます。
子どもは仙人のところに行き、無言のまま酒を注ぎました。
程よく酔っぱらったところで北側の仙人が子どもに気づき、「なぜ人間がここにいるのか?」と責めます。
謝りながら事情を話した子どもを見て、北側の仙人は寿命が描かれた巻物を取り出し、「確かに寿命は十九までだな。しかしこれは決まっていることだから変えるわけにはいかない」と言いました。
すると南側の仙人は「まあまあお酒も飲んでしまったことだし」と言いながら筆をとり、「十九」の前に「九」と付け加え、「これでお前は九十九まで生きられるぞ」と言いました。
喜んで帰った子どもは、本当に九十九歳まで長生きしたそうです。
このことから、死者は死を司る北側の仙人(北斗七星)に頭を向けて寝させる、北枕という文化が生まれ、生きている人は北に頭を向けて寝るのは縁起が悪いなんて話が生まれたのです。
おわりに
いて座について、見つけ方・神話・そこにある宇宙についての3つの観点から紹介しました。
次にあなたが見上げるいて座が少しでも輝いて見えますように。
参考
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